副審は主審の反対側から試合全体の安全と公平性を支える重要な役割です。
ネット際の反則、センターラインの侵入、交代やタイムアウトの運用など、目配りの範囲は広く、正しい手順とシグナルが求められます。
本記事では、最新情報を踏まえた副審のやり方を、基本から実践まで段階的に解説します。
今日初めて副審を任された方から、公式戦の精度を上げたい方まで、すぐ活用できるコツとチェックリストを整理しました。
目次
バレーボール 副審 やり方の基本をまず押さえる
副審の最重要ミッションは、第一審判の視野を補完し、ラリーの連続性と選手の安全を確保することです。
主審が高い位置からボールの正否や上空のプレーを主に判断するのに対し、副審は床面とネット周辺、ベンチ運用の適正に集中します。
特にネットタッチ、センターライン侵入、下側空間の通過、ローテーション関連、交代とタイムアウトの手順は副審の担当領域です。
やり方の基本は、見る優先順位を定め、正しい立ち位置から適切なタイミングで笛とシグナルを出すことに尽きます。
副審の視線は常にボールと選手の動き、ライン、ネット、スコアテーブルの三点を往復します。
静止せず、プレーの方向に合わせて滑るように移動し、接触や侵入の角度を確保しましょう。
笛は短く明瞭に、シグナルは肩幅で大きく、誰にでも伝わる速度で示します。
迷った時は直ちに主審へアイコンタクトと合図で補助意見を伝え、判定の一貫性を最優先に行動します。
副審のミッションと基本姿勢
副審のミッションは、安全、公平、迅速の三本柱です。
安全では、支柱やポールパッド付近の接触や足のもつれを警戒し、危険を感じたら即座にラリー停止。
公平では、両チームに同じ基準で反則を適用し、片側のみに厳しくならないよう視野を保つこと。
迅速では、笛とシグナル、スコアラーとの連携を滞りなく行い、試合のリズムを崩さないことが求められます。
基本姿勢は半身でネットに平行、膝を軽く曲げ、いつでも1~2歩で視点を変えられる準備を保ちます。
プレーが自分側へ寄るほどネットとセンターラインを強く意識し、逆側では交代やベンチの動きに目を配る配分へ。
声掛けは最小限にしつつ、主審やスコアラーには合図を明瞭に出し、選手とベンチに不要な示唆を与えないことが大切です。
判定の優先順位と迷った時の対応
優先順位は、危険の除去、重大な反則、ラリー継続性の妨げの順で考えると判断が安定します。
危険とは、転倒や支柱接触、観客席からの物品侵入など。重大な反則はネットタッチ、センターライン完全侵入、位置の違反などです。
迷ったら笛を急がず、主審と即座に目を合わせ、必要なら合議のジェスチャーで一致した説明を行います。
副審は絶対的な最終判定者ではありません。
明確な視野と根拠がある場合のみ笛を優先し、微妙なケースは主審の角度やラインジャッジの情報を取り入れて結論へ。
説明は簡潔に、競技進行を止めすぎないことが信頼につながります。
副審の役割と第一審判の違いを整理

副審と第一審判は対等なチームですが、視点と権限の配分が異なります。
第一審判はネット上部と打撃行為、ブロックやアタック時のフォルト優先。副審はネット下部、センターライン、ベンチ運用、交代・タイムアウト手順、スコアラーとの調整を主に担当します。
下表で違いを把握し、担当領域の重複点はコミュニケーションで事前にすり合わせましょう。
特に近年はチャレンジシステムの運用や交代のスピード化が進み、スコアラーと副審の連携精度が試合全体の質を大きく左右します。
主審の判断を尊重しながらも、必要な情報は適切なタイミングで提供し、チームとして最善の判定を実現します。
| 項目 | 第一審判 | 副審 |
|---|---|---|
| 主視点 | ネット上部、打撃、ブロック | ネット下部、センターライン、ベンチ |
| 主な反則 | オーバーネット、アタック・ブロックのフォルト | ネットタッチ、完全侵入、位置の違反 |
| 運用 | プレーの開始・終了、最終判定 | 交代・TO許可、スコア確認、手続管理 |
| 連携 | 合議を主導 | 情報提供、合図で補助 |
権限と責任の境界を明確化する
副審はプレーの開始と終了を宣言する権限は持ちませんが、担当範囲の反則については笛による停止が可能です。
特にネットタッチとセンターライン完全侵入、下側空間通過のボール、位置の違反、交代・TOの手続き違反は副審の主要領域です。
合議では観察事実を簡潔に伝え、主審の最終判断に資する情報を提供します。
責任は判定の精度に加え、試合運用の流れを守ることに及びます。
スコアラーの記録修正やベンチの秩序維持、タイムの計測、遅延行為の抑止まで視野に入れ、全体の品質管理者として振る舞いましょう。
重複領域での連携ルール
ネットタッチやブロック時の接触は両者の視野が重なります。
事前打合せで、相手側の支柱やポールパッド接触は副審が主、上部の手やボールの通過は主審が主、といった分担を確認。
ラリー後の合図は、主審の笛後に副審が補足シグナルを行い、観客にも分かる形で一貫性を示します。
微妙なケースが連続した場合は、短い合議で基準を統一し直すのが有効です。
過度な介入は避けつつ、情報の誤差を放置しない姿勢が試合の信頼性を高めます。
試合前の準備とチェックリスト

試合前の5分が副審の品質を決めます。
器具やコートの安全確認、スコアラー・ラインジャッジとの合図統一、チームのロスターとリベロ番号の確認、交代口の位置と導線確認など、開始前に整えるほどトラブルは減ります。
主審とも担当フォーカスのすり合わせを行い、判定基準を共有します。
用具はネットの張り、アンテナの固定、ポールパッドのずれ、床面の濡れや異物の有無を必ず目視。
スコアテーブルのブザーや表示の動作、交代ボードの準備、タオルやモップの担当も確認します。
これらをルーティン化し、チェックリストで抜けをゼロにしましょう。
- ネット高さとテンション、アンテナ位置
- センターラインとサイド・エンドラインの視認性
- 支柱・パッドの安全、床面の乾燥
- スコアラーの準備、ブザー動作、交代ボード
- ロスター、リベロ番号、ラインアップ用紙の受理
- 交代口とタイムアウト位置の確認
器具・コート・安全の最終確認
安全確認は目視と触診の両方で行います。
アンテナは確実に差し込み、上端がネット上に正しく出ているか、パッドはズレがないか、ネットの中央と両端の高さ差をチェック。
床は審判用の動線上を中心に濡れがないかを拭き取り、滑りやすいスポットに目印を置かないよう注意します。
ボールの反発や弾みは主審と共に簡易確認すると良いでしょう。
観客席やベンチ周りの障害物も確認対象です。
開場直後は意外な場所に荷物が置かれがちなので、プレーエリア周辺を広く確保し、危険があれば主審へ報告して速やかに対処します。
スコアラー・ラインジャッジとの打合せ
合図の速度と順番、特に交代・タイムアウトの合図は事前に統一します。
スコアラーがブザーを鳴らすタイミング、副審が許可の合図を出す順序、記録の読み上げ確認の方法を合わせます。
ラインジャッジとは、タッチの有無や下側空間の通過の補助合図を決め、視線を合わせるポイントを共有します。
選手入場から第1セット開始までの導線も確認します。
チーム紹介中の位置、コイントス後の配置、サーブ順の最終確認など、式次第に沿って動けるようシミュレーション。
不明点はここで解消しておくと本番での迷いが減ります。
正しい立ち位置と移動のコツ
副審は支柱の前方、スコアテーブル側の床上に位置します。
サーブ前は受け側コートの位置関係を確認しつつ、ネットとセンターラインが視界に入る角度を確保。
ラリーが自側へ近づくほどネットに寄り、遠ざかるほどスコアテーブルやベンチを意識します。
真横に並ばず、斜めの角度から選手とネットの関係を見抜くのがコツです。
移動は小刻みに、しかし止まらないのが鉄則です。
スパイクやブロックが起きる瞬間に視点が跳ねないよう、あらかじめ1歩ずれた角度をとっておきます。
接触や侵入の瞬間は一瞬なので、見たい地点を先取りしておく意識が精度を高めます。
サーブ前後の基本位置取り
サーブ前は受け側の位置関係とローテーションを確認します。
接戦時ほど位置違反が出やすいため、リベロの位置と後衛のフロント越えを早めに検知。
サーブ直後はネットとの距離を半歩詰め、短いサーブやクイックに備えてセンターラインの足元へ視線を落とします。
サーバーの位置や遅延は主審領域ですが、明らかな遅延やベンチからの不適切なコールには注意喚起の準備を。
次のラリーに入る前にスコアボードを一瞥し、セットと得点、交代回数が整合しているかの確認もルーチンに含めます。
ラリー中の移動ラインと視野確保
ラリー中はネットに平行な短いサイドステップで移動し、ブロックとアタックの接触角度を確保します。
ブロック後のリバウンドは選手の足元が交錯しやすいため、センターラインへ視線を落とし侵入を確認。
逆サイドへ展開した場合は、即座にベンチと交代口の様子へ視線を切り替え、遅延や交代準備をチェックします。
視野は三段階に切り替えます。
接触瞬間の局所視野、ラリー継続の広域視野、運用の周辺視野です。
この切替の練度が、微妙なタッチの見逃しや遅延防止に直結します。
ラリー中の観るポイントと笛・シグナル

副審の主観視点はネット下部、センターライン、支柱、アンテナ、下側空間です。
これらに関する反則を感知したら、短く鋭い笛でラリーを停止し、明確な手信号で全員に示します。
笛は1回、シグナルは胸から肩の高さでゆっくり、重ねて示す必要がある場合は順序を守ります。
ボールのイン・アウトはラインジャッジが主ですが、彼らの視界外の接触や下側空間の通過は副審が積極的に補助します。
主審の笛後は矛盾のない補足シグナルを行い、説明を求められたら短く根拠を伝える準備を整えましょう。
ネット・センターライン・下側空間の判定
ネットタッチは、プレーに関与する選手のネット接触が対象です。
髪やユニフォームが揺れただけでは反則ではなく、アンテナやネット上部の明確な接触を捉えます。
センターラインは全足部が完全に越えた場合が反則で、踏むだけや部分的な越境は許容されます。
下側空間の通過は、ボールがネット下を完全に通過した場合に反則となります。
シグナルは、ネットタッチならネットを指差し、センターライン侵入ならラインを指して足元を示します。
下側空間は片手を水平にして下方を払うように示すと明瞭です。
どの反則でも、笛の直後に迷いなく合図し、主審が示した判定と矛盾しないよう注意します。
タッチアウトやアンテナ関連のサポート
タッチアウトは主にラインジャッジが判断しますが、ネット際でのブロック後の微細な接触は副審の角度が有利なことが多いです。
手首の跳ねや指の反動、音よりも動きの不自然さに注目すると精度が上がります。
アンテナに触れた、またはアンテナ外を通過した場合は直ちに停止し、アンテナを指し示します。
ラインジャッジの旗が遅れた場合でも、主審に速やかにアイコンタクトと補助シグナルで情報を渡します。
チャレンジがある試合では、選手や監督の要求が適式かを確認し、主審に運用の可否を伝える準備をしておきましょう。
交代・タイムアウト・チャレンジの運用
副審は交代とタイムアウトの入口を管理し、正しい順序で許可します。
交代はブザーまたは交代ゾーンでの申請を受け、スコアラーと一致を確認のうえ許可のシグナル。
タイムアウトは申請の優先順位を把握し、許可後は計時と終了合図を明瞭に行います。
チャレンジ制採用時は、申請の適式性や回数管理を主審と連携して実施します。
手続の正確性が試合のリズムを守ります。
交代の速やかな入退場、違反時の是正、タイムの時間厳守、チャレンジの対象プレー範囲の確認など、運用面の精度が副審の評価に直結します。
交代の手順と違反対応
交代は選手が交代ゾーンで申請、スコアラーが記録を確認、ブザーまたは副審の許可シグナルで実施します。
入退場は走らせず、番号を目視しながら、交代回数の上限や同一選手の再出場可否を確認。
違反があれば即時に停止し、主審へ報告のうえ正しい処置へ導きます。
運用のコツは、攻守の切り替え時に交代が集中することを見越し、交代口を事前に確保すること。
スコアラーの記録読み上げに合わせて番号を復唱し、混乱時は一歩下がって流れを整えてから許可します。
タイムアウトとチャレンジの適切運用
タイムアウトはチームスタッフの申請を確認し、許可後に腕でT字を示し計時を開始します。
ベンチがコートへ物品を持ち込まないよう、ライン外の安全を保つのも副審の役割です。
終了は明瞭な合図で選手を戻し、次のラリー準備を促します。
チャレンジは対象プレーと回数、タイミングが適式かを確認します。
副審は主審へ簡潔に状況を伝え、再開時は正しい位置とサーブ順を再確認。
不適式な要求は受理せず、落ち着いた態度で手続を説明します。
ローテーションとポジションフォールトの見分け方
ローテーションの管理はスコアラーが担当しますが、コート上の位置関係は副審が即時に監視します。
サーブ前に前後関係、左右関係のズレをチェックし、特にリベロの前衛侵入や後衛アタックライン越えにつながる配置ミスに注意。
違反はラリー開始前に是正するのが理想で、開始後に気づいた場合は適切にラリーを停止します。
主審と分担して、受け側の位置を副審が重点監視する運用は有効です。
チームのフォーメーションの癖を早期に掴み、毎ラリーの確認点をルーティン化することで、見落としを防ぎます。
位置関係の確認手順とコツ
サーブ許可前に、各選手の相対位置を素早く確認します。
前衛3人の相互の前後関係、後衛3人の相互関係、前後の境界はアタックラインで判断。
リベロは後衛限定である点を念頭に、前衛と同列に上がっていないか確認します。
コツは、背番号や体格、利き手で素早く位置を覚えること。
ローテーションが回るたびに視線の順路を固定し、抜けやすいゾーンを重点的に確認すると効率が上がります。
典型的な違反パターンと対処
よくある違反は、サーブ直前に前衛と後衛が交差して前後関係が逆転するケース、リベロが前衛の位置へ入り込むケースです。
また、後衛セッターがアタックラインを越えてボールを完全にネット上方へ送り、前衛のブロックを許す形も争点になりがちです。
対処は、まず静かにラリーを止め、主審へ違反内容を明確に伝達。
チームには簡潔なシグナルで説明し、次ラリーに向けて配置を正しく戻させます。
感情的なやり取りを避け、手続通りに運ぶのが最短です。
トラブル対応とベンチマナーの管理
副審はベンチ側に近いため、遅延や不適切な発言、用具トラブルへの初期対応者になります。
軽微なトラブルは迅速に収束させ、重大案件は主審へエスカレーション。
観客の介入や床の濡れ、用具破損が起きた際も、安全を最優先にラリーを停止します。
マナーの管理はペナルティ目的ではなく、試合の秩序の維持が目的です。
事前の声かけや表情のコントロールで火種を小さくし、必要時のみ手続に沿って警告やペナルティに移行します。
遅延行為・不適切発言への初動
遅延は交代の過度な引き延ばしや、タイムアウト後の戻り遅れなどで発生します。
副審は事前に手短な注意を行い、改善が見られない場合は主審と連携して段階的に処置します。
不適切発言は即座に制止し、再発防止のためスタッフとキャプテンへ冷静に伝達します。
カード運用は主審が行いますが、副審は状況の文脈を簡潔に共有し、過度な感情のエスカレートを抑えます。
次のラリーの準備が整うまでの時間配分も意識し、試合の流れを維持しましょう。
用具・床面トラブルの安全確保
床面の濡れは即停止が原則です。
モップ担当の呼び込み、ベンチからのタオルの受け取り、再開前の最終確認を段取りよく行います。
ネットやアンテナの破損は主審と協議し、可能な範囲で迅速に交換。
時間がかかる場合は両チームへ説明し、平等性を保った再開を心掛けます。
観客席からの物品落下やコート侵入も稀に起こります。
安全確保後、主審と協議して再開手順を決定。
スコアラーへ時間と状況を記録してもらい、必要に応じて運営と連携します。
- 異常検知 → 安全確保のため停止
- 重大度判断 → 軽微は現場解決、重大は主審へ
- スコアラーへ要点共有 → 記録整合
- 再開条件確認 → 立ち位置・サーブ順確認
- 明瞭な合図で再開
よくあるミスと上達のポイント
副審のミスは、視野が狭くなる、シグナルが小さい、交代手続が滞る、といった運用面に集中します。
技術的にはネットタッチやセンターラインの瞬間視認が難所。
上達には、見る順番の固定化、シグナル練習、場面ごとの立ち位置シミュレーションが有効です。
小さな成功体験を積むほど、迷いが減り精度が上がります。
主審やスコアラーとの事前打合せを丁寧に行い、合図の言語化と標準化を進めると、当日の負荷が大幅に軽減します。
ビデオで自分の動線と姿勢を確認するセルフレビューも効果的です。
視野が狭くなる問題の克服
一点集中は微細な接触には有効ですが、他の反則を見落としやすくなります。
視野を三層に分ける意識を持ち、局所視野で接触、広域視野で選手配置、周辺視野でベンチとスコアを同時に捉える訓練を行いましょう。
呼吸を整えることも視野の安定に役立ちます。
ドリルとして、想定ラリーを頭で描き、各局面で自分の立ち位置と視点の移動を言語化する方法があります。
これを繰り返すと、本番で自動的に体が動くようになります。
ラインジャッジの合図をトリガーに視線を切り替える練習も有効です。
シグナル・姿勢の不明瞭さを改善
シグナルは大きく、ゆっくり、止めを作る、の三原則で改善します。
肩幅以上に腕を上げ、1拍静止してから次の合図へ移ると、観客席からも判別しやすくなります。
笛は短く切り、合図の順序を常に一定に保ちましょう。
姿勢は半身で重心を低く、足は肩幅、膝は軽く曲げる基本に立ち返ります。
ビデオで確認し、猫背や合図が小さくなる癖を矯正。
観る、止める、示す、のテンポを体に刻みます。
まとめ
副審のやり方は、正しい立ち位置、明確な視野配分、的確な笛とシグナル、そして手続運用の精度で決まります。
主審と役割を補完し合い、スコアラーやラインジャッジと合図を統一するだけで、試合の質は大きく向上します。
本記事のチェックリストと手順、視野と動線のコツをルーティン化し、安定した判定と安全な試合運営を実現してください。
最後に、迷った時は安全と一貫性を最優先に。
副審は試合の裏方でありながら、最前線の品質管理者です。
小さな準備と丁寧な合図が、選手と観客の信頼を生み、競技の魅力を最大限に引き出します。
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